妊娠中の便秘では妊婦糖尿病にも注意しましょう
妊婦さんが便秘になりやすいという事はよく知られている事実です。便秘になるとお腹が苦しくなるだけではなく、吐き気や痔、肌荒れなども引き起こすものの、ほとんどの場合はすぐさま健康被害が起こるというものではないので、あまり気にしていないという方もいるかも知れませんね。
しかし、妊娠中の便秘は胎児へ供給するための血液を汚してしまったり、妊婦糖尿病の原因にもなりますので、重篤化させてしまうまえに、お腹をすっきり便秘解消させておくほうが賢明です。
妊娠と便秘と血糖値の関係
妊娠中は胎児のゆりかごにあたる子宮を安定させるために、黄体ホルモンの分泌量が多くなります。黄体ホルモンは子宮だけではなく、大腸など他の臓器の動きも緩やかにしてしまう働きがあります。
胃や腸の働きが低下することとなりますから、食べたものが便として排出されるまでに時間がかかるため、便から水分が奪われ過ぎてしまい、便秘になりやすくなるのです。
また、黄体ホルモンにはインスリンの分泌量を減らす作用があります。ついでに便秘になると腸内の腐敗ガスが多くなり、腐敗ガスの影響でインスリンの分泌量が減ってしまうんですね。
インスリンの分泌量が減るという事は、血糖値が下がりにくくなり、妊婦糖尿病になることがあります。
妊婦糖尿病は通常なら出産を終えれば血糖値も戻るものですが、妊娠中にに血糖値が高いままの状態が続き過ぎると、出産後も血糖値が高いままになり、一般的な糖尿病になってしまう恐れがあります。
妊娠中に血糖値が高いとどんな事が起こる?
インスリンは血糖値を下げるためのホルモンですが、このインスリンが少なくなってしまうと妊婦さんの体内ではどういうことが起こるのかと考えてみましょう。
赤ちゃんの栄養は母体からの血液ですが、血糖値の高い血液は、赤ちゃんにとっても高エネルギーなため、胎児が巨大化してしまう可能性があり、自然分娩での出産が難しくなり、帝王切開になる可能性が高まります。
自然分娩での出産ができないという訳ではありませんが、非常に難産になり、分娩に時間がかかり、母子ともに負担が大きくなるばかりか、赤ちゃんに呼吸器系の疾患が出る確率が上がります。
さらに、高血糖に慣れてしまった赤ちゃんは、インスリンの分泌量が多くなり、低血糖症を起こしやすくなってしまうという問題もあるのです。
妊婦糖尿病にならないためには
ママと赤ちゃんの体のためには、血糖値が低すぎるのも問題ですが、高すぎれば胎児の巨大化や呼吸器系障害、ママの糖尿病、生まれて来た子供の低血糖症などの原因となります。
日ごろからパンや麺類、お菓子など、糖質(炭水化物)を多く摂取している方は、妊娠中はインスリンの働きが弱まる事を考慮し、糖質の摂取量を控えるようにしましょう。
血糖値を下げるのに最も効果的なのは有酸素運動ですので、無理をしない程度に軽い運動を心掛けましょう。運動といっても特別なことをする必要はなく、「体調のいい時に歩く」ただこれだけでいいので1日5分から始めてみましょう。
また、食物繊維には血糖値の上昇を穏やかにする作用がありますし、水溶性食物繊維は便秘解消にも役立つものですので、水溶性食物繊維を多く含むキノコ類、海藻、アボカド、オクラなどを食事に摂り入れてみてはいかがでしょうか。
妊娠中の便秘対策で注意すべきこと
妊娠中は自分だけではなく、赤ちゃんへの血液や羊水へも水分が使用されます。ただでさえ黄体ホルモンの影響で便の水分量が不足しやすい上に、体は普段以上に水分を必要としている状態ですので、いつもより少し多めに水分補給を行うようにしましょう。
蠕動運動を高める、腸の動きをよくする成分(キャンドルブッシュなど)の含まれる便秘茶、サプリ、便秘薬などは、腸だけではなく子宮までも収縮させてしまい、早産や流産のリスクを高める恐れがあるので使用は控えましょう。
妊娠中は便秘や高血糖値になってしまいがちですが、ちょっとした習慣で重篤化させない事は可能です。自身と赤ちゃんのためにも、便秘と血糖値対策は行うようにしましょう。